
?依存の種類
依存に該当するもの一覧
| 区分 | 依存対象 | 具体例 | 背景・要因 |
|---|---|---|---|
| デジタル依存 | ゲーム依存 | オンライン・ソシャゲ・FPSなど | 仮想空間の安心・達成感・現実逃避 |
| SNS依存 | Instagram/TikTok/LINE/Xなど | 承認欲求・つながりへの渇望・暇つぶし | |
| YouTube/動画 | ASMR/実況/長時間視聴 | 無思考でいられる・現実逃避 | |
| スマホ依存 | 常時使用・通知依存・SNS中毒 | 一体化・安心感・刺激追求 | |
| 精神的依存 | 人への依存 | 先生・友人・恋人に過剰に執着 | 拒絶不安・安心できる存在の希少性 |
| 共依存関係 | お互いを傷つけながら離れられない | 見捨てられ不安・自己価値の希求 | |
| 家族内依存 | 過干渉・親の庇護への依存 | 自立の難しさ・過保護の影響 | |
| 空想・妄想依存 | 架空の世界・物語に没入 | 現実のしんどさからの逃避 | |
| 物質依存 | OD(オーバードーズ) | 市販薬・睡眠薬・鎮痛剤の多量服用 | 現実逃避・痛みのコントロール |
| アルコール | 未成年飲酒(家庭内や外部) | 不安緩和・仲間意識 | |
| カフェイン | エナジードリンクの多飲 | 覚醒感・過集中・習慣化 | |
| 身体的依存 | 食行動異常 | 拒食・過食・過食嘔吐・過度のダイエット | 自己コントロール・自己否定・身体像の歪み |
| 甘味依存 | チョコ・お菓子をやめられない | セロトニン分泌・安心感 | |
| 行動依存 | 買い物依存 | 通販・100均・不要な物の購入 | 獲得感・感情調整 |
| 金銭依存 | お小遣いの浪費・借金 | コントロール不能・無価値感補填 | |
| 自傷行為 | リストカット・過量服薬・壁打ちなど | 感情発散・存在確認・罪悪感の麻痺 | |
| 性的依存 | 出会い系・性的やりとり・軽率な交際 | 愛されたい・利用される自己価値観 | |
| 習慣性依存 | 喫煙(電子タバコ含) | 高校生以降に多い傾向 | 集団所属・刺激・模倣 |
| 状況依存 | 過剰な“優等生”依存 | 過剰適応・いい子でいないと不安 | 否定されないため・報酬への依存 |
| 不登校への依存 | 引きこもり状態が“安全”になる | 学校=脅威/家=安心の強化 | |
| 被害者ポジション依存 | 常に「かわいそう」な立場をとる | 同情・関心を得るため |
補足:依存の境界は
■やっていて「気分がまぎれる」は健全な対処。
でも、それが「ないと不安」「やめると落ち着かない」なら依存の始まり。
さらに、日常生活や人間関係、社会に支障が出ているのにやめられない状態は依存症のリスク領域であり、発達障害や境界知能などの特性を持つ児童生徒は、依存の誘惑に陥り安い傾向が特にあると言われています。
発達特性のある児童生徒にとっての依存とは
発達障害や境界知能などの特性を持つ児童生徒は、生まれ持った認知の特性や、周囲との関係の築きづらさ、自己理解や感情コントロールの難しさなどから、「生きづらさ」を感じやすい傾向にあります。
その「生き辛さ」から目を背けたり、心を落ち着かせたり、空虚さを埋めたりする為に、一時的に心が頼ってしまうもの ── それが「依存」です。
※依存はよく否定的に捉えられることもありますが、依存の全てが悪いワケではないとも思われます。
依存とは「甘え」ではなく、「心のSOS」
依存とは、意志の弱さや甘えではなく、自分を守る為の「代替的な手段」として始まる事が多いものです。
本人が意識しないうちに、いつの間にか「やめられない」「手放せない」状態になる事で、自分や周囲を傷つけてしまうリスクさえもあります。
なぜ発達特性のある子に「依存」が起きやすいのか
感情コントロールの難しさ:強い不安や衝動性を自分で処理しきれず、「すぐに安心できるもの」に飛びつく
孤独や拒絶体験の多さ:人間関係での失敗が多く、孤立しやすいため
白黒思考や反復思考:一つの事にこだわりすぎる傾向があり、気づけば「それだけ」にのめりこむ
空虚感・無力感:「どうせ自分なんて」という気持ちを埋める手段として依存に向かう
成功体験の乏しさ:失敗や注意される経験ばかりで、自信を育む事が難しい
❗依存がもたらす「負のループ」
■依存対象で一時的に安心する
→ そのうち「もっと強い刺激」が必要になる
→ 学業や人間関係に支障が出る
→ さらに現実が辛くなり、依存にのめり込む
→ 自分の力で抜け出せなくなる
※結果的に、「本当に助けてほしい気持ち」が見えづらくなり、支援のタイミングを失うこともあります。
保護者にできる「予防」と「理解」
予防的に大切なこと
●子どもの「小さな違和感」を見逃さない
●成功体験や安心感を積ませる
●「問題行動」ではなく「背景のニーズ」に注目する
●家庭が「安全基地」であることを伝え続ける
関わりのコツ
●「なんでそんなことするの!?」ではなく、「何かしんどかったのかもね」と声をかける
●「取り上げる・やめさせる」前に、安心できる代替手段を一緒に考える
●専門家や支援機関と早めに連携し、孤立させない
まとめ:「依存」は、見えない心の傷の“叫び”
依存は、ただの「甘え」でも「やる気のなさ」でもありません。
それは時に、子どもなりの必死な「生きる術」であり、「助けてほしい」という声が形を変えたものでもあるのです。
保護者や支援者がその背景にある心のサインに気づき、「共に立て直すパートナー」として寄り添うことこそ、依存の「本当の怖さ」に立ち向かう第一歩です。
児童生徒に特に多く見られる依存の傾向
| 分類 | 依存内容 | 説明・背景 | 特徴 |
|---|---|---|---|
| ゲーム依存 | 家庭用/スマホゲームに没頭し、学業・生活に支障 | 達成感・安心感・人間関係の回避 | 時間管理困難、やめられない衝動 |
| ネット・YouTube依存 | 長時間の動画視聴・SNS徘徊 | 現実逃避・“考えずに済む”空間 | 不眠・昼夜逆転・無気力の助長 |
| 摂食障害(拒食・過食) | 食べすぎ・食べない・吐くなどの行動 | 自己コントロール/自己否定/身体への執着 | 小学生高学年~女子に特に多い傾向 |
| オーバードーズ(OD) | 市販薬の乱用・鎮痛剤依存 | 感情麻痺/現実逃避/「消えたい」気持ちの表現 | 中学生~高校生女子に急増傾向 |
| 人間関係依存 | 過度な“友達/先生/恋人”への執着 | 拒絶不安・見捨てられ不安・愛情欠乏 | ベタベタ→トラブル→孤立化のループ |
| 万引き、買い物・浪費依存 | 不要なグッズ・お菓子・文房具の衝動買い | 獲得欲求・感情調整 | 金銭感覚の崩れ、ストレス対処行動 |
特に注意する傾向
●女子児童・生徒に多く見られるのは、
→ 摂食障害・OD・人間関係依存・SNS過集中
●男子児童・生徒に多く見られるのは、
→ ゲーム・YouTube・スマホ依存
●不登校や五月雨登校の子に多いのは、
→ 昼夜逆転+ネット/ゲーム依存+自己否定感の強化
二次障害としての依存が起こる背景は?
■継続的な「失敗体験」や「叱責経験」
■安心して自己表現できる場の欠如
■「努力しても無理」という学習性無力感
■家庭でも学校でも「居場所」がないと感じている

