第1章:基本理念
本法人は、すべての児童生徒・利用者の人権と尊厳を最優先に守ることを理念とし、いかなる状況においても「尊重・共感・合理的配慮」を原則とする支援を提供します。
身体拘束および虐待は、倫理的・法的に容認され得ない行為であり、例外的かつ最終手段としての適正要件にのみ従うものとします。
なお、本ガイドラインは、国連「子どもの権利条約」、SDGs目標16(平和と公正)、およびWHO・UNICEFの国際的虐待防止フレームに準拠します。
第2章:適用範囲
本ガイドラインは、本法人が運営または関与するすべての支援事業(放課後等デイサービス、相談支援、教育研修、地域協働活動等)に従事する職員、非常勤、業務委託、ボランティア、インターン等すべてに適用されます。
第3章:定義
■身体拘束:本人の意思に反して、身体の自由を制限するあらゆる行為(抑制具の使用、移動の制止、拘束姿勢の強制など)
■虐待:身体的・心理的・性的・経済的な暴力、または養育放棄(ネグレクト)等、権利を侵害する行為
■心理的虐待:暴言・威圧・無視・あだ名・冷笑・関係排除・いじめ・空気的圧力を含む広範な精神的損害
■合理的配慮の欠如:特性やニーズに応じた支援を怠ることにより、意図せず権利侵害を生じさせる行為
■グレーゾーンの行為:法的・倫理的判断が難しく、本人の主観的な受け止め方に左右される可能性のある行為。
これについても、再発防止の対象として検討・共有される。
第4章:身体拘束・虐待の原則的禁止
1.身体拘束および虐待に該当する行為は原則として一切禁止する。
2.ただし、児童生徒の生命・身体の保護を最優先とする緊急事態において、他の手段での安全確保が困難であると判断される場合に限り、以下の3要件すべてを満たすときに限って一時的に実施できる:
①【切迫性】生命・身体に重大な危険が差し迫っていること
②【非代替性】他に手段が存在しないこと
③【一時性】必要最小限の範囲と時間に限ること
4.実施時は、責任者・第三者立会・記録・後日再検証を義務とする。
また、本人および保護者への適切な説明責任を果たす。
第5章:虐待防止体制および通報義務
1.本法人内に、「虐待防止責任者」および「虐待防止委員会」を設置し、全事案のモニタリング・分析・改善提言を担う。
2.虐待・いじめ・心理的圧迫・関係排除の疑いがある場合、いかなる職員も、速やかに以下へ通報義務を負う:
– 虐待防止責任者・委員会
– 児童相談所(189)・市区町村福祉課
3.通報を行った職員が不利益を受けないことを保証し、通報は守秘義務の例外として法的に保護される。
第6章:合理的配慮と予防的環境整備
1.感覚特性・発達特性・行動傾向に応じた「予防的支援」(構造化・視覚支援・安心空間の整備など)を必須とする。
2.職員は「起きてから対応する」のではなく、「起きる前に察知する」感性を共有・育成する。
3.無意識的な上下関係・支配的言動・環境的 “空気感でのいじめ” 等を防ぐため、職員間の振り返り・チェック体制を整える。
第7章:記録・分析・再発防止
1.身体拘束・重大トラブル・心理的被害等が生じた場合は、必ず日時・対応者・状況を記録し、1ヶ月以内に虐待防止委員会にて検証。
2.委員会は改善策を明文化し、研修・マニュアル・支援手法に反映する。
3.児童本人や保護者が「嫌だった」「怖かった」と感じた場合、それを主観的被害として尊重し、対応する。
4.虐待か否かの判断が難しいグレーな行為についても、原則として事案化し、検討・振り返りの対象とする。
第8章:教育・研修・公開
1.全職員を対象に、虐待防止・権利擁護・対人支援倫理の研修を年1回以上実施する。
2.支援現場での振り返りとケース検討、行動指針(Code of Conduct)による意識醸成を義務づける。