
自己決定とは
児童生徒が自分で考え、選び、行動を決める力のことです。
これは単なる「わがまま」や「好き勝手」とは違い、責任を持って選択する力を意味します。
心理的成長とは
児童生徒が「心の中で育むもの」を指します。
たとえば──
●自己肯定感(自分を大切に思える)。
●レジリエンス(困難を乗り越える力)。
●内的動機(自分からやろうとする力)。
●社会性(他者と関わる力)。
自己決定と心理的成長の関連性
✅自己決定が「自信」を育てる
自分で選んで行動した経験は、成功でも失敗でも、「やってみた」「自分で決めた」という感覚を残します。
それが自己効力感や自己肯定感の向上に繋がります。
例:
学校で「どの本を読むか」「どの係をやるか」を自分で選ぶだけでも、「自分で決めた」という体験が心を育てます。
✅自己決定が「内発的動機」を育てる
他人から強制されるよりも、自分の意志で行動した方が、「やる気」が持続しやすくなります。
これは「自己決定理論(Self-Determination Theory / SDT)」の中心的な考えです。
SDTによると、人は「自律性」「有能感」「関係性」の3つが満たされると健全に育ちます。
✅自己決定が「社会性」を高める
選択や決断には、相手の気持ちや状況を考える力が必要です。
これは協調性・共感力など、ソーシャルスキルの向上にもつながります。
例:
「今日は誰と遊ぶか」を自分で決める場面で、自然と他者との関わり方や距離感を学びます。
✅自己決定の経験が「責任感」を育てる
「自分で決めたこと」に対しては、責任を持つ感覚が育ちます。
これは将来的な自立に不可欠な力です。
現場で出来る事
| 支援の工夫 | 具体例 |
|---|---|
| 小さな選択肢を与える | 「今日の活動をAかBで選んでみよう」 |
| 意見を聞く機会を作る | 「この場所をどう使いたい?」 |
| 成功体験をフィードバック | 「自分で決めた通りにやってみたね。すごいね!」 |
| 失敗も認めて支える | 「選んで失敗しても、また次に活かせるよ」 |
まとめ
自己決定の体験は、児童生徒の「自分で生きる力」を育む栄養素です。
それは、精神的に折れにくく、社会の中で自分らしく在るための基盤になります。
| 児童ID | 自己決定経験スコア | 自己肯定感スコア | 内発的動機スコア |
|---|---|---|---|
| A1 | 15 | 60 | 3.5 |
| A2 | 20 | 75 | 4.0 |
| A3 | 25 | 80 | 4.5 |
| A4 | 10 | 50 | 3.0 |
| A5 | 30 | 90 | 5.0 |
| A6 | 18 | 65 | 3.8 |
↑こちらは、「児童生徒の自己決定経験」と「心理的成長指標(自己肯定感・内発的動機・社会性)」の関係を示した、データセットと可視化グラフです。
見どころポイント
●自己決定経験スコアが高いほど、ほとんどの子どもが心理的成長指標でも高スコアを示しています。
●自己肯定感・内発的動機・社会性いずれも、ある程度きれいな相関が見られます。
●特に「自己決定経験スコア30」の児童(A5)は、すべての指標でトップレベルでした。
✅このデータが示唆すること
子どもが「自分で選ぶ」機会を多く持つことで、内発的動機や自己肯定感が育ちやすくなる。
心の成長において、自己決定の体験は栄養源である可能性が高い。
「支援現場でどう育てるか?」という問いに対して、「選ばせる支援」は非常に有効。

