
高校卒業後の進路選択肢(千葉県/発達障害・境界知能にある生徒)
| ?️進路 | 内容 | 千葉県の傾向(令和4年度) | 補足ポイント |
|---|---|---|---|
| 進学 | 大学・専門学校等。 | 約0.8% | ✅ 極めて少数。学力・制度ハードルあり。 |
| 一般就労(企業) | 障害者雇用枠/一般枠での就職。 | 約36.6% | ✅ 境界知能は「一般枠」が中心。 ➡ 障害開示で定着率 約70%、非開示では 30%以下。 |
| 福祉的就労 | 就労移行・継続支援(A型/B型)。 | 約55.9% | ✅ A型:雇用契約あり(最低賃金以上) ✅ B型:非雇用(工賃は月平均1〜2万円) |
| その他 | 職業訓練/進路未定/家庭待機など。 | 約6.8% | ✅ 支援が切れると 引きこもり・無業化 のリスクあり。 |
就労形態と定着率の違い
| 就労形態 | 主な職種例 | 1年後の定着率 | 備考・特徴 |
|---|---|---|---|
| 一般就労(障害者枠) | 清掃・軽作業・販売補助・事務補助など | 約70〜75% | 合理的配慮あり。安定しやすい。 |
| ⚠️一般就労(一般枠・非開示)⚠️ | 同上 | ⚠️約30%以下⚠️ | ⚠️ 支援・理解なく、短期の離職リスク高⚠️ |
| 就労移行支援 → 就職 | IT・事務・経理補助・専門職 | 70〜80%(事業所による) | 訓練+マッチングで長期定着を支援。 |
| 就労継続支援A型 | 飲食・清掃・軽作業・デザイン等 | 中〜高(退所は数年単位) | 雇用契約あり、最低賃金保証。 |
| 就労継続支援B型 | 工賃作業(袋詰め、農作業など) | 長期利用者多 | 就労というより日中活動の場。 |
⚠️離職理由TOP5(発達障害・境界知能に多い)
| ?理由 | 内容 | 留意点 |
|---|---|---|
| 職場の人間関係 | 周囲の理解不足・孤立 | ➡ 29%が離職理由に挙げる最大要因。 |
| 賃金・労働条件 | 給与が低い、働き方が合わない | ➡ 約32%が不満。やりがいの乏しさも影響。 |
| 仕事内容のミスマッチ | 能力・興味と合わない業務 | ➡ 特性と業務が合致しないと早期離脱に。 |
| 会社の配慮不足 | 合理的配慮や支援体制がない | ➡ 相談窓口がなく、孤立しやすい。 |
| 健康・精神面の悪化 | ストレス、体調悪化による退職 | ➡ 特に半年以内に離職しやすい傾向あり。 |
離職後の主な動向
| 状況 | 説明 | 支援の可能性 |
|---|---|---|
| 福祉的就労への移行 | 就労継続支援B型などへ移行。 | ➡ 生活リズム・社会参加維持に有効。 |
| 再チャレンジ(再就職) | 再びハローワーク・支援機関と連携。 | ➡ 就労移行支援を再利用する事例も。 |
| 引きこもり・無業状態 | 社会不安や失敗体験から自宅引きこもり。 | ➡ 支援と接点が切れると再起困難に。 |
| 療養・障害年金 | うつ病などの治療に専念。 | ➡ 境界知能単独では原則年金対象外。 |
アドバイス
・障害の開示と理解ある職場選びが、定着への最大のポイント。
・「合う仕事や環境(人間関係など)」を一緒に探すことが、離職のリスクを下げる第一歩。
・「進路未定」の状態をつくらず、つながり続ける支援体制を事前に準備。
・就職がゴールではなく、“定着”と“再チャレンジ”を支える道の設計が大切。
⚠️仮に、離職後の「現実」と向き合い、今できる事を考える為に。
発達障害や境界知能を持つお子さまが、高校卒業後に一度は就労しても、その後の道のりが順調とは限りません。
今回は、「離職後の現実」と「起こりうる状況」を、実際の現実的なデータと共に紹介します。
✅離職後に見られる4つの動向
| 進路 | 実際に起こっていること | データで見る実態 |
|---|---|---|
| 在宅(無職) | 再就職が難しく、家に引きこもってしまう状態。社会との接点が消え、孤立するリスクが高まります。 | ⚠️約3〜4割がこの状態(NIVR) |
| 福祉施設・作業所 | 就労継続支援A型・B型に通所。社会参加の場ではありますが、収入は少なく、自立には時間がかかります。 | 境界知能含む知的障害の55%が通所(厚労省) |
| 再就職活動 | 再チャレンジを目指しますが、支援不足や過去の離職経験が壁になることも。再び離職することもあります。 | ⚠️発達障害の一般雇用1年以内再離職率:37.5% |
| 進学 | 新たなスタートとして専門学校や大学へ進みますが、環境の変化が大きく、再び挫折する例もあります。 | 特別支援高等部の進学率:約2%(非常に稀) |
❗【厳しい現実】離職の背景にある「見えないリスク」
●職場での理解不足・適応困難。
●ストレスや過労による精神的悪化。
●うつ病などの二次障害。
●家族依存・孤立・行政や支援との断絶。
たとえ就職に成功しても、「続けられるかどうか」が最大の壁なのです。
だからこそいま出来る事
| 行動 | 理由・ねらい |
|---|---|
| 早期からの適職診断や職業準備(非常に重要です) | 中高時代から「働くってどういうこと?」を実体験させることで、現実とのギャップを減らします(理想間現実統合)。 |
| 相談支援機関や地域社会との継続的連携 | 児童相談支援機関など、外部機関や社会と繋がり続ける事が「再起」の鍵になります。 |
| 本人の特性に合った職場選び | 「自分に合わない環境や人間関係」はストレス源になります。納得感のある選択肢を一緒に探求することが本当に大切です。 |
未来を悲観する必要はない。
決して悲観する必要は無く、「現実から目をそらさない勇気」は必要です。
「一度就職できたから安心」ではなく、「その後も社会と繋がり続けられる力」を育てる事。
それこそが真の「価値」だと私たちは考えます。
どうか、お子さまの未来を“信じて”、でも“備えて”、共に歩み続けていきましょう。
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