
小学校低学年とLD支援の大切さ
LD(学習障害)とは?
読む・書く・計算するなど、基礎学習(全てのみなもと)の一部に著しい困難がある発達障害のひとつ。 全般的な知的発達に遅れはない。
発生率と特徴(文科省調査)
| LDの特性 | 小学生における割合 |
|---|---|
| 読字障害(ディスレクシア) | 約4〜8% |
| 書字表出障害(ディスグラフィア) | 約3〜5% |
| 算数障害(ディスカリキュリア) | 約3〜6% |
出典:文部科学省「特別支援教育資料」
小学1・2年での支援が重要?
●学習の基礎形成期(文字・数・言語感覚)。
●「頑張っても出来ない」経験が続くと、自己否定や不登校のリスクが高まる。
●この時期は脳の可塑性が高いため、適切な支援で改善が期待できる。
科学的根拠に基づく支援効果
・脳画像研究(Shaywitz et al., 2003)
読字障害児の脳活動(左側頭葉)は通常より低い。→ 早期音韻指導で活動が活性化し、読解力が改善する例も。
・読み書き困難児への個別指導で、約20週間の訓練により、平均「1学年以上」の読解力向上。Torgesen et al., 2006
具体的な支援方法
| 困難の種類 | 有効な支援法 | 活用ツール例 |
|---|---|---|
| 読むのが苦手 | 音韻認識トレーニング | かなトレ・読み上げアプリ(TTS) |
| 書くのが苦手 | キーボード入力、視覚支援 | タブレット、ひらがなパッド |
| 計算が苦手 | 数直線・具体物・視覚教材 | ブロック教材、算数アプリ |
家庭や学校の連携もカギ!
●担任・支援員・保護者での情報共有。
●スクールカウンセラーや特別支援コーディネーターと連携。
●「努力不足」ではなく「認知スタイルの違い」として理解することが第一歩。
LD支援は「学びのカギ」
「学べない子」ではなく「学び方が異なる子」。早期支援と理解が、子どもたちの未来の可能性を大きく広げます。
発達障害・境界知能とLD傾向の関連性
1.✅発達障害との関連
● 発達障害にLD傾向がみられる割合:
- ●ADHDの児童生徒のうち、
- 約 30〜50% に、LD傾向が併存(重複)するとされています。
- 約 30〜50% に、LD傾向が併存(重複)するとされています。
- ●ASDの場合、
- 知的な凸凹が大きい群では、約20〜40%に、読字や書字・計算困難などのLD傾向が併存。
※出典例:DuPaul et al., 2013(ADHDとLDの併存)、日本LD学会資料 等
2.✅境界知能との関連
● 境界知能児におけるLD的な困難の割合:
| 指標 | 数値の目安 |
|---|---|
| 境界知能の子のうち、明確なLD傾向がある割合 | 約20〜30% |
| 認知的プロファイルに偏りがある(視覚・言語・処理速度など) | 約50%以上 |
境界知能群では、「学習全般のつまずき」+「特定の認知弱点」という形で、LDと類似の支援が必要になる事もあります。
・境界知能の子どもたちは、通常学級に在籍する事が多く、支援が届きにくい「グレーゾーン」になりやすいと言われています。
実際の現場の課題
●境界知能や発達障害の児童生徒は、知能検査だけでは見落とされがちな事がある。
●「できるはず」と誤解され、不適切な指導や評価を受けやすい。
●学習支援と行動支援の両輪が必要。
結論として:
発達障害や境界知能の約2〜5割に、LD的困難(読字・書字・算数)を伴う可能性があります。
その為、「発達障害=言動の支援」「LD=学習の支援」と分けるのではなく、個別の認知特性に応じた総合的な支援体制が求められます。

