「IQ帯の学習到達可能度(平均値)」

IQ70~110の各児童生徒が、義務教育終了までに獲得可能な「学習レベルの目安」
児童生徒のIQ(知能指数)によって、学習の習得スピードや理解度には幅があります。
ここでは、IQ70〜110の範囲で、それぞれの児童生徒が、適切な環境指導のもとで到達可能な「学習レベルの獲得目安」を、分かりやすく整理しました。
IQ70~110の認知特性
●IQ70~85(境界知能):
基本的な学習には十分な支援が必要。
日常生活に関連する実用的な学習が重要。
●IQ85~100(平均よりやや低め):
学校教育の標準的な内容を、時間をかける事で習得可能。
●IQ100~110(平均よりやや高め):
学校教育の標準カリキュラムを、比較的スムーズに習得が可能。

1. 読み書き(国語)
IQ70~85(境界知能)
●簡単な文章の読み書きが可能。
●日常生活で必要な単語や短い文を理解し、基本的なひらがな・カタカナ・簡単な漢字を使えるようになる事が出来る。
例:「天気がいいです」「おなかがすきました」のような簡単な文の理解と記述。
IQ85~100(標準的な範囲)
●一般的な小学校の学習内容を習得可能。
●新聞の見出しや簡単な物語を読めるレベルを目指し、主語・述語を意識した文章を書く事が出来る。
例:「今日の出来事を3行で書く」「好きなことについて5行以上の文章を書く」。
IQ100~110(平均よりやや高め)
●抽象的な文章の理解が進み、説明文や論理的な文章の作成も可能に。
●比喩や慣用表現の理解も進み、自分の考えを文章にまとめる事が出来る。
例:「本を読んで感想を書く」「自分の意見を3つの理由と共に書く」。
2. 計算(算数・数学)
IQ70~85
●基本的な足し算・引き算、簡単な掛け算・割り算を日常生活の中で使う事が出来る。
●お金の計算や時間の読み方、長さや重さの概念を身につける事が出来る。
例:「100円のお菓子を2つ買うといくら?」「午後3時から2時間後は何時?」
IQ85~100
●小学校高学年レベルの四則演算ができ、分数や小数、割合の理解が出来る。
●簡単な図形の面積や体積も求められるようになる。
例:「50人のクラスの40%が女子です。女子は何人?」「長方形の面積を求める公式を使って計算する」。
IQ100~110
●中学・高等レベルの数学にも対応できるようになり、方程式や関数、確率の基礎が理解できる。
●論理的に考えて解く問題に対応できるようになる。
例:「一次方程式を解く」「グラフを見て変化の法則を説明する」。
3. 道徳・ソーシャルスキル(対人関係のスキル)
IQ70~85
●基本的な挨拶やマナーを身につけ相手の気持ちを考える事が出来る。
●身近な人とのコミュニケーション慣れが出来る。
例:「おはようございますと言える」「ありがとう、ごめんなさいを適切に使う」。
IQ85~100
●友人関係や集団行動の中でのルールを理解し、相手の気持ちを考えながら行動する事が出来る。
例:「話を聞くときの態度を考える」「相手が困っているときにどう対応するか学ぶ」。
IQ100~110
●他人との違いや多様性を理解し、状況に応じた適切なコミュニケーションができるようになる。
●意見の違いを受け入れたり、問題が起きたときに適切に対処する事が出来る。
例:「相手の意見と自分の意見が違うときに、どのように話せばよいか考える」。
4. 問題解決能力(論理的思考・推論)
IQ70~85
●日常生活の中でシンプルな選択肢を考え、自分で決める事が出来る。
●簡単な「もし〇〇なら、どうする?」の問題に答えられるようになる。
例:「雨が降りそうだけど、どうする?」「忘れ物をしないためにはどうすればいい?」
IQ85~100
●物事の因果関係を考え、選択肢の中からより良い方法を選べるようになる。
●計画を立てて行動する事が出来る。
例:「明日の準備を考えて、持ち物リストを作る」「時間内に課題を終えるためのスケジュールを立てる」。
IQ100~110
●複数の選択肢を比較し、根拠を持って最適な判断を下せるようになる。
●問題が起こったときに冷静に分析し、解決策を考えられるようになる。
例:「友達とケンカしたとき、どう対応すればいい?」「複数の方法を考えて、どれがベストか説明する」。
5. QOL向上スキル(生活スキル・自己管理)
IQ70~85
●身の回りのことを自分でできるようになり、簡単な家事やお金の管理が出来る。
●健康管理や感情のコントロールが出来る。
例:「自分で服を選んで着る」「お小遣いを使いすぎないようにする」。
IQ85~100
●生活リズムを整え、自分の行動を計画的にできるようになる。
●少し先のことを考えながら行動する事が出来る。
例:「1週間のスケジュールを立てる」「食事のバランスを考えて選ぶ」。
IQ100~110
●より高度な自己管理ができるようになり、進路や将来を見据えた選択ができるようになる。
●時間管理や目標設定ができるようになる。
例:「1か月後の目標を立てて達成する方法を考える」「アルバイトの計画を立て、お金の管理をする」。
まとめ
IQ70~110の児童生徒が、義務教育終了までに獲得可能な学習レベル(平均値)は、個々の特性や環境などによっても異なりますが、
●IQ70~85では「生活に必要な基礎知識とスキルの習得が可能」
●IQ85~100では「学校教育の標準的な学習内容を、最終的には概ね身につける事が可能」
●IQ100~110では「抽象的な思考や応用力を高め、自分で考え具現化する事が可能」
上記あたりが、適切な学習環境下で育まれる「各IQ帯学習到達可能度の平均値」となるようです。

