
見る力?
ビジョンとは、視力ではなく、「世界をどのように認識し、どのように神経が繋がるか」の、脳神経接続力のことを言います。
✅見るって、目だけの話じゃないんです
「視力はいいはずなのに、読めない」
「書けない」
「黒板がごちゃごちゃして見える」
「周囲や集団とうまく合わない」
そんなお子さんがいたら、それは「 Vision=見る(認識する)力 の問題」かもしれません。
Vision(ヴィジョン)とは、単なる視力のことではなく、意味を見出し、自分(個)と世界(周囲)をつなぐ認識の力でもあります。
脳が感覚情報を統合し、心や身体へとつなげることで、私たちは初めて「見えた」などと感じられるのです。
※神経科学の見地では、視覚認知は一次視覚野(V1)から側頭葉・頭頂葉・前頭葉に広がるネットワーク活動とされ、その処理過程は「見る」というより「認識し、意味づける」機能と位置づけられています。
✅Full Vision Training©の仕組み|5つの統合プロセス
私たちは、こんな順番で「世界を視て、感じて、動いて」います。
| 項目 | 内容 | 関連脳部位・機能系 |
|---|---|---|
| ① 五感 | 視覚・聴覚・触覚などの感覚入力。脳への入り口。 | 外界→感覚受容体→視床→大脳皮質(初期処理) |
| ② 脳 | 情報を整理し、記憶・注意・空間認知・意味理解に統合。 | 後頭葉・頭頂葉・側頭葉・前頭前野(DLPFC) |
| ③ 心 | 不安・自信・安心感など、感覚と情動が交わる場。 | 扁桃体、帯状皮質、島皮質、PFC(情動制御) |
| ④ 身体 | 書く・描く・動くなどの身体的反応。 | 運動野、小脳、脳幹系、前庭覚・固有感覚統合 |
| ⑤ 統合 | 行動・学習・対人関係へとつながる「自己調整」機能。 | 実行機能系(PFC)、自己概念・社会的脳 |
※この5つの階層は、感覚統合理論(Ayres, 1972)や神経心理学(Luria, 1973)、さらには、近年の発達脳科学(Diamond, 2013)によって体系化され、作業療法・教育・発達支援の現場で応用され始めています。
※なお、Full Vision Training©とは、本法人独自のビジョントレーニングをエビデンスに基づき体系化した「発達支援プロダクトの1つ」のことを言います。

✅どんな困りごとが起きるの?
| よくある困りごと | 背景にある機能の課題 | 関連する評価・理論 |
|---|---|---|
| 文字を飛ばして読む | 跳躍性眼球運動の不安定さ | DEM検査(Garzia et al., 1990) |
| 書字が不正確・歪む | 図と地の弁別/空間位置の誤認 | TVPS/Frostig視知覚理論(1974) |
| 集中が続かない | 感覚過負荷・選択的注意の困難 | 感覚プロファイル(Dunn, 1999) |
| 空間の把握が曖昧 | 左右・奥行の構成力の未発達 | Moeller et al. (2011):空間構成と算数の相関 |
| 自信のなさ/不登校傾向 | 認知困難からの二次障害 | WHO ICF:b156、d160等の複合障害概念 |
※国際的にも、五感認知と学習・行動・感情の相関は多く報告されています(Sullivan et al., 2008/Beery & Beery, 2004)
✅海外では「視る力=支援対象」
●AOTA(米国作業療法士協会)
感覚処理障害・視覚認知困難への介入ガイドラインを策定
●COVD(視覚発達専門機関)
ビジョンセラピーの国際基準を提示
●WHO/UNESCO
教育現場における認知的・感覚的多様性への包括的アプローチを推進(Inclusive Education, 2017)
日本では、いまだ十分に理解されていない領域ですが、世界ではLD、ASD、ADHD、高次脳機能障害、情緒障害などへの標準的介入プロダクトとして確立されています。
✅本法人(Umbilical Cord)の支援とは
Vision = 五感 → 脳 → 心 → 身体 → 行動
この「統合サイクル」を丁寧につなぎ直すことが、本法人の支援の核心(能力拡張225%の為の主要プロダクトの1つ)です。
| ステップ | 支援内容(例) | 導入評価/理論 |
|---|---|---|
| ① 初期評価 | DEM/TVPS/Beery-VMI/眼球運動スクリーニング | 行動検眼学(ACBO, COVD)/OT評価体系 |
| ② 課題支援 | タングラム/トランポリン/模写/視覚ー身体統合課題 | Ayres SI理論/Luria神経心理モデル |
| ③ 可視化と記録 | WAVESレーダーチャート/視写速度/行動チェック | BRIEF/SDQなどの心理尺度との併用 |
| ④ 情緒の並走支援 | 安心感・成功体験の蓄積 | Porges理論(安全・副交感神経優位)に基づく環境づくり |
✅教育・福祉・医療との連携も
●TBIや脳卒中後の高次機能障害支援:
視空間認知・眼球制御・作業記憶の再構築(Sohlberg & Mateer, 2001)
●情緒障害や不登校:
感覚・身体・情動のループ改善による回避行動の低減(Ogden, 2006)
●学びの困難/自己否定感:
「できない」ではなく「わかりにくい」の理解から始まる包括的アプローチ
「やる気の問題」とされがちな課題の多くは、「感覚の整理」と「意味づけ」の支援によって好転します。
✅こんな方にこそ知ってほしい
●学校で「困ってる子」の「見えない理由」に寄り添いたい先生
●「努力不足」と言われてきた子の、本当の「見えにくさ」を知りたい保護者
●感覚・認知・情緒・行動を一体として捉えたい支援者
●医療と教育をつなぐ「神経統合支援」に関心のある方

✅最後に|Visionとは「未来をみつける力」
Visionとは、ただ「見る」ことではありません。
それは、「世界の中で自分がドコにいるのか」を認識し、「世界とどのように関わり、どのように自分らしくいられるか」をつかむための力です。
本法人は、「見えるようになった」ではなく、「安心して世界を視ていける」子どもたちを育みたいと考えていきます。
おまけ:国際的な信頼ソース例
| 機関/文献 | 概要 | リンク |
|---|---|---|
| COVD | 視覚発達・行動検眼国際基準 | https://www.covd.org |
| AOTA | 感覚統合と視覚介入ガイドライン | https://www.aota.org |
| UNESCO | 包括的教育ガイドライン(2017) | https://unesdoc.unesco.org |
| Sullivan et al. (2008) | 眼球運動訓練と読字効率の関連研究 | Journal of Learning Disabilities |
| Moeller et al. (2011) | 空間認知と数学力の相関 | Child Development |

