探求学習マトリクス

基本理念

「振り切る個性」と「社会との繋がり」を探る旅

→「普通」を目指すのではなく、「その子のまま深める・拡げる」探究の設計。

→ 目的は、「知の発見」以上に、「自分を生きる意味の発見」


「探求学習マトリクス」

感じるFelt考えるThink創るCreate繋がるConnect
自己理解力自分の好き嫌い・得意苦手を感情で捉える自分の特徴・価値観・資質を分析する自分の強みを紹介するツールを作成する他者に自己紹介し、フィードバックを得る
他者理解力他者の気持ちや考えを想像し、共感してみる相手の立場や背景を調べて理解する他者に向けたメッセージや価値ギフトをつくる他者と対話し、違いや共通点を確認する
社会理解力社会課題に触れて、自分の感情がどう動くかを知る社会の仕組みや仕事の役割を探究する社会貢献アイデアや仕事紹介ツールを作る地域や社会と関わる体験・訪問を行う
未来構想力自分の将来に希望や不安がある事を感じて共有する将来なりたい姿や価値観を言語(具現)化する自分の未来マップ・理想のあり方をビジュアル化するロールモデルや大人と出会い、道のりを学び育む

「探求学習」を大切にする理由

①自己決定理論による学習意欲の向上

●研究者:Deci & Ryan(1985)。

●概要:人は「自律性」「有能感」「関係性」が満たされると、内発的動機が高まり学びが深まる

●効果:探求学習は、子どもが自分でテーマを選び、試行錯誤し、達成感を得るプロセスがある為、自己決定感が育ちやすい

キャリア選択においても、「自分で決める力」や「興味に基づく選択」が醸成されやすい。


②キャリア成熟促進(Super理論)

●研究者:Donald Super(1990年代)。

●概要「自己理解」と「職業理解」を深めながら人はキャリアを築くという理論。

●効果:探求学習を通して、自分の関心や強み、社会課題に向き合う中で「自己理解」が深まる。

その結果、将来の進路や職業の方向性が、より現実的かつ納得感を持って描けるようになる。


③「非認知能力」の育成とキャリア適応力の向上

●研究:OECD・米国心理学会(2015〜)。

●非認知能力とは?:粘り強さ、自己肯定感、協調性、好奇心など。

●効果:探求学習では、課題の設定・調査・協働・発表といったプロセスを通じて、これらが自然と育まれる

これらの力は、将来の不確実な社会におけるキャリア形成にとって、重要な「キャリア・アダプタビリティ」に繋がる。


④探究学習が「意味づけのある学び」に繋がる(学習の転移)

●研究:Bransford et al.(1999)『How People Learn』。

●概要「意味づけられた知識」は、他の場面でも活用されやすい(転移が起きる)

●効果:自分の経験や課題と繋がった学びは、単なる知識の習得にとどまらず、将来に応用しやすい。

キャリア選択時に、自分の学びが社会でどう活かせるかをイメージ出来る力がつく。


⑤「職業観・勤労観」の形成と社会的文脈の理解

●研究:文部科学省・キャリア教育のガイドライン(2011〜)。

●効果:探求学習で実社会の課題に触れたり、実在の職業人と関わる事で、「働くとは?」のリアルな理解が育まれる。

これは、単なる進路ではなく、「生き方」や「価値観」に根ざしたキャリア選択を可能にする。


効果一覧

項目探求学習効果キャリア形成への繋がり
自己決定理論内発的動機の強化自律的な進路選択ができる
Super理論自己理解の深化自分に合ったキャリア設計
非認知能力協働・粘り・好奇心の育成変化に対応する力の育成
転移の理論意味ある学びの蓄積将来の実社会で応用できる
勤労観の形成社会的接続の強化働く意味の理解と志の形成

発達障害のある子が「自分の未来」を探究する場合

感じる:大人になったら何が嬉しい?何が怖い?

●考える:自分に出来る事/好きな事/苦手な事は?

●創る:将来の「理想の生き方」を想像し創造してみよう。

●繋がる地域社会の人と協働で価値を生産し発展していこう。


マトリクスの特長

発達障害・境界知能でも取り組みやすい「体験×感情ベース」。

個別化がしやすい(マスではなく、「一人ひとり」の旅物語)

振り返り・意味づけ支援に向いており、RISE/REZモデルとも親和性が高い。

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