要支援チェックシート(高学年)

このチェックシートは、「発達障害・境界知能に特化した、精神障害者保健福祉手帳の取得が望ましい可能性のある児童生徒(二次障害予防・早期改善・安心のホケン)」に係る、「発達障害特性・神経発達・認知発達・情緒心理・メンタル面」にフォーカスした「要支援チェックシート」となります。

児童生徒の「見えにくい困りごと」を早期に “見える化” することで、早期発見・早期支援・二次障害の予防といった、「学齢期⇒思春期⇒就労期」で連続的にお役立ていただくことを目的としております。

なお、学習に関する「著しい遅れ」の定義(国際標準)としましては、小学3年生以下(低学年)の場合で一学年以上の遅れ小学4年生以上(高学年)の場合で二学年以上の遅れ、とされています(基礎科目である「国語・算数」が評価基準の対象となります)。

些細なことでも、早めの気づきと対応が児童生徒の未来にとっては好ましくありますので、スクールカウンセラー・担任・学校・児童相談支援事業所、医療機関、市区町村の窓口などに、

また、「児童精神科」や「心療内科」への通院や、「セラピー」などを受けられている児童生徒などで、「精神障害者保健福祉手帳」や「自立支援医療(精神通院医療費助成)」の申請をご希望のご家庭向けに、「取得相談用チェックシート」も掲載しておりますので、病院受診の際などにご活用ください。


💡児童生徒で精神障害者保健福祉手帳を取得できる主な障害・症状一覧

✅発達障害(ASD・ADHD・LDなど)

✅気分障害(ウツ傾向・躁うつ/双極性障害など)

✅統合失調症スペクトラム(統合失調症・妄想性障害など)

✅不安障害系(社会不安障害・パニック障害・強迫性障害など)

✅神経発達症群(チック症・吃音など)

✅登校渋り・五月雨登校・不登校(身体症状の訴えなど)

✅過食・拒食・異食など

※「精神障害者保健福祉手帳」の取得や、「自立支援医療(精神通院医療費助成)」の申請には、原則として6ヶ月以上の通院・治療歴が必要となります。


[要支援チェックシートの構成]
①「要支援リスク」チェックシート
②「将来的リスク」チェックシート
③「二次障害予防・改善リスク」チェックシート

【カテゴリ】
①学習・授業への困難
②行動・生活習慣に関する困難
③対人関係・友人関係の困難
④言葉の理解・コミュニケーションの困難
⑤感覚・こだわり・発達特性に関連した困難
⑥心身の健康・メンタルサイン
⑦家庭での様子や関係の変化
⑧進路・学習に関するリスク
⑨働くこと・職業意識に関するリスク
⑩社会参加・他者との関係に関するリスク
⑪自立生活・制度接続に関するリスク
⑫自己評価・感情の変化

⑬対人関係・支援への拒否傾向

⑭行動・感情の表出変化 ⑮社会的孤立・関係の断絶


①「要支援リスク」チェックシート

※以下のチェックシートは、概ね4年生(10歳の壁)以上の児童生徒向けとなります。

1.学習・授業への困難
☐ 読み書きや計算に強い苦手意識があり、簡単な課題でもつまづく様子がある。
☐ 授業中に集中が続かず、注意がそれやすい。
☐ 先生の話を聞き取れなかったり、理解に時間がかかることが多い。
☐ 宿題や提出物に強い抵抗感があり、忘れる・やらないことが頻発する。
☐ 少し難しい課題でもすぐに「できない」「ムリ」と言って諦める傾向がある。
2.行動・生活習慣に関する困難
☐ 朝の準備や登校に手間取ることが多く、遅刻や欠席が増えている。
☐ 睡眠リズムが崩れており、夜更かしや昼夜逆転の傾向がある。
☐ 忘れ物や持ち物の管理が難しく、毎日の生活に支障がある。
☐ 衣服・身だしなみに無頓着、または極端なこだわりがある。
☐ 学校や習い事など、ルーティンのある活動に強い拒否感がある。
3.対人関係・友人関係の困難
☐ 友だちとほとんど関わらず、一人で過ごす時間が多い。
☐ 対人トラブル(口論・叩く・無視など)が増えてきている。
☐ 冗談や相手の気持ちが読み取りづらく、誤解を招きやすい。
☐ からかわれたり、イジメのような状況があるかもしれないと感じている。
☐ 感情がコントロールできず、友人に対してきつい言葉を使うことがある。
4.言葉の理解・コミュニケーションの困難
☐ 会話のやり取りが一方的になりやすく、相手の話もあまり聞いていないように感じる。
☐ 指示や説明を聞き取れず、何度も聞き返す場面が多い。
☐ 冗談や比喩表現などの「言葉の裏」が理解しづらい様子がある。
☐ 興味のある話題ばかり話し、会話のキャッチボールが成立しにくい。
5.感覚・こだわり・発達特性に関連した困難
☐ 大きな音・強い光・特定の匂いなどに過敏に反応する。
☐ 服のタグや肌さわり、特定の食感などに強い拒否を示すことがある。
☐ 予定の変更や予測できない出来事に強く動揺する傾向がある。
☐ 好きなことには異常なほど集中する一方で、他のことには全く関心がない。
6.心身の健康・メンタルサイン
☐ 頭痛・腹痛などの体調不良を頻繁に訴えるが、検査では異常が見られない。
☐ 食欲の極端な低下、または過食傾向が気になる。
☐ 感情の波が大きく、突然泣き出したり怒り出すことがある。
☐ 日常生活への関心や意欲が低下し、「どうでもいい」といった発言が増えている。
☐ 「いなくなりたい」「消えたい」といった表現が見られることがある。
7.家庭での様子や関係の変化
☐ 家族との会話が減り、一人で過ごす時間が著しく増えている。
☐ 家族に対して攻撃的な言葉・態度が増えてきた。
☐ インターネットやゲームへの依存が強まり、生活に支障をきたしている。
☐ 家族への信頼や安心感が薄れているように感じる。
8.過剰適応・内在化された困難
☐ 「大丈夫」と言い続けているが、顔色や表情に無理が見えることがある。
☐ 大人や友だちに合わせすぎて、本人の意思や希望が見えない。
☐ 失敗や迷惑をかけることを極端に恐れ、「いい子」でいようとし続けている。
☐ 感情を抑えて我慢しすぎる傾向があり、時折爆発するような反応がある。

チェック数による対応目安

✅チェックが1~2個(一時的な変化の可能性があります。家庭での関わりや見守りを大切にしつつ、様子を記録しておきましょう。)

✅チェックが3~6個(気になる傾向が見られます。学校の先生やスクールカウンセラーにご相談ください。)

✅チェックが7個以上(日常生活に支障が出ている可能性があります。医療機関や児童相談支援事業所へのご相談をおすすめします。)


②「将来的リスク」チェックシート

1.進路・学習のリスク
☐ 将来、一般的な高校や大学・専門学校等の進路に進む事が難しいのではと感じている。
☐ 本人が進路について話そうとせず、関心が薄いように感じる。
☐ 進学したとしても途中で続かないのではと不安を感じている。
☐ 学ぶことそのものに意欲を持てていないように感じる。
☐ 進路や学習の話しを家庭で出すと、本人が不機嫌になったり話題を避ける様子がある。
☐ 周囲の期待や「こうあるべき」に従ってきた結果、自分の希望がわからなくなっているように見える。
☐ 「やりたいこと」がわからないと言いつつ、無理に「こうするしかない」という感じがある。
2.働くこと・職業意識に関するリスク
☐ 将来、社会に出て働く姿がまったく想像できない。
☐ 働くことについて話題にすると、本人が「ムリ」「イヤだ」などと反応する。
☐ 仕事をすることの意味や目的について、本人の中で明確になっていないように感じる。
☐ 「働くのが怖い」「自信がない」など、不安や回避的な言葉が出ることがある。
☐ 働くことに関して明確な拒否はないが、無関心・無表情で「何でもいい」と言いがちである。
3.社会参加・他者との関係に関するリスク
☐ 家族以外の大人との関係性や信頼関係が非常に乏しい。
☐ 地域活動・交流の場・外出の機会に、本人が極端な抵抗感を示す。
☐ 支援機関や相談窓口など、社会的な資源に対する理解や関心が本人にまったくない。
☐ 社会の中で役割を持つことに対して、本人が価値を感じていないように見える。
4.自立生活・制度接続に関するリスク
☐ 生活リズムや金銭管理など、自立生活に必要な力の育ちに不安がある。
☐ 保護者として、親なきあとに本人が生活していけるかが大きな心配である。
☐ 本人が福祉制度や支援サービスを「自分には関係ない」と否定的に捉えている。
☐ 困ったときに「誰に相談すれば良いか」が、本人の中で曖昧、または不明確である。

※チェック数によるリスクレベル

✅チェックが1~3個(将来への備えとして、本人や支援機関との早めの対話・情報共有をおすすめします。)

✅チェックが4~6個(リスクが進行する可能性があります。学校や支援機関と連携し、具体的な支援体制を検討しましょう。)

✅チェックが7個以上(学習・就労・生活全般にわたる将来的なリスクが高い状態です。多職種による支援の導入を推奨します。)


③「二次障害予防・改善リスク」チェックシート

1.自己評価・感情の変化
☐ 「自分はダメだ」「どうせできない」といった自己否定的な言葉が増えている。
☐ 小さな失敗でも、必要以上に自分を責めたり、強く落ち込む様子がある。
☐ 楽しかったはずの事への関心が薄れ、「面倒くさい」「どうでもいい」などと言うようになった。
☐ 表情や声のトーンが乏しく、喜怒哀楽の起伏が見えにくくなってきた。
☐ 「周囲の期待に応えないといけない」と思いすぎて、疲れ果てているように見える。
☐ 喜怒哀楽をあまり表に出さず、「大丈夫」「平気」とだけ言うことが増えた。
2.対人関係・支援への拒否傾向
☐ 家族や支援者の声掛けにも「放っておいて」「意味がない」などを返すことがある。
☐ 学校や支援機関に関して「信じていない」「もう無理」といった否定的な言葉を使う。
☐ 支援や相談の話題を出すと、すぐに不機嫌になったり、無言・回避行動をとることがある。
☐ 人との関わりを避け、自室に閉じこもる時間が長くなっている。
☐ 「助けてもらうのは甘え」など、自力解決にこだわり、支援を拒む傾向がある。
☐ 表面的には人付き合いができていても、内心は深く孤立しているように感じる。
3.行動・感情の表出変化
☐ 怒りやストレスを暴言や物に当たるかたちで表す場面が増えている。
☐ インターネットやゲームへの依存が強まり、日常生活への影響が出てきている。
☐ 「いなくなりたい」「もう何もしたくない」などの極端な表現を口にする事がある。
☐ 以前よりも突然泣き出す、過敏な反応をするなど、感情のコントロールが難しそうに見える。
4.社会的孤立・関係の断絶
☐ 家庭内の会話が減り、同じ空間にいても本人の存在感が希薄に感じられる。
☐ 家族・学校・地域・支援先すべてから距離を取ろうとする様子がある。
☐ 困りごとを外に出さず、「自分でどうにかする」といった抱え込みが見られる。
☐ 「助けても意味がない」「誰も信じられない」というような表現が増えてきている。

※チェック数によるリスクレベル

✅チェックが1~2個(変化の始まりかもしれません。身近な支援者や学校と連携し、日々の様子を丁寧に見守りましょう。)

✅チェックが3~5個(二次障害の兆候が表れている可能性があります。医療機関や児童相談支援事業所との連携をおすすめします。)

✅チェックが6個以上(心理的または社会的なリスクが高い状態です。早急に専門的な支援をご検討ください。)


支援先に繋ぐヒント

✅が多い時は、「子どもに何か問題がある」ではなく、「今、この子が一人で背負ってる困難が多いだけ」と、

捉えてください。

保護者の方は、「困っている」と、地域社会に訴えて良いのです。

スクールカウンセラー、担任、学校、児童相談支援事業所、医療機関、市区町村の窓口などに、

たとえば

気づき:子どもの様子に漠然と不安を感じたとき
気づき:思春期の変化が「成長」か「特性」か迷うとき
教育:進路(通信制・支援級など)を検討するとき
教育:三者面談・進路面談の前に備えるとき
教育:不登校・中退・転学など進路迷走時
就労:アルバイトや職場が続かないとき
就労:就労移行や支援付き就労を検討するとき
就労:自立生活や一人暮らしを話題にするとき
心理:感情の起伏や「消えたい」発言が出たとき
心理:支援に対して「もう無理」「どうせ無理」と言い出したとき
連携:学校・医療・支援機関に相談するとき
連携:ケース会議や支援会議で家庭の意見を伝えるとき
制度:受給者証・手帳など福祉制度申請の準備として
制度:成年後見・親亡き後の備えを考えるとき
補足:家族内(祖父母など)との理解ギャップ調整に使いたいとき
補足:保護者自身の不安や気持ちを整理したいとき

最後に

児童生徒の「困りごと」は、早めに対処する事で、将来的なリスクを回避・軽減できます。

適切なサポートがあれば、社会で生きやすくなる力を、育むこともできます。

保護者だけで悩まず、学校や専門機関に相談しながら、一緒に解決していけば良いのです。

これらの「チェックシート」を有効活用していただき、早期発見・早期保護・早期発達支援で、子どもたちを地域社会で護っていきましょう。

当該チェックシートは、ご家庭向けの簡易的フォームとなります。お子様に関しての不安は、些細な事柄であっても、各種専門機関へご相談いただく事をオススメいたします。

このページの内容はコピーできません